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フォンタン手術に向けた術前評価|心臓カテーテル検査

三女は、左心低形成症候群(HLHS)という生まれつきの心臓病です。
これまでに4度の手術を受けてきました。

  • 両側肺動脈絞扼術
  • ノーウッド手術・両方向性グレン手術
  • 胸管結紮術(乳び胸手術)
  • フォンタン手術(TCPC)

 

2017年8月17日、機能的修復術である「フォンタン手術(TCPC)」を受けています。
三女の疾患は根治しませんが、これで修復は完了しました。

こちらの記事は、当時の記録をまとめたものです。
2017年5月12日~16日、4泊5日の日程で術前評価のための心臓カテーテル検査を受けました。

 

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心臓カテーテル検査レポート

心臓カテーテル検査は、心臓や血管に管を入れて圧の測定・採血・造影などを行う検査で、体内に直接異物を挿入して行ういわゆる「侵襲的(生体を傷つける)な」検査の1つです。
心臓カテーテル検査は
  • 病気の的確な診断及びこれに合併する異常を明らかにすること
  • 病態を正確に把握すること

を目的として行われます。
■心臓カテーテル検査・治療説明書より

 

5月12日(金)入院

心臓カテーテル検査(以降:心カテ)が行われるのは15日(月)ですが、土日を挟むため金曜日のうちに。
今回は小児科への入院です。

 

【この日の検査】

  • 身長・体重測定
  • 採血
  • 血圧(中途半端)
  • 採尿(取れずじまい)
  • 心電図
  • レントゲン

 

インフォームド・コンセント

小児循環器Y先生から、IC(インフォームド・コンセント:治療内容の説明・合意)がありました。

前回と今回で大きく違うのは1点、今回は鼠蹊部からだけではなく鎖骨下からもカテーテルを入れることです。
疑問点は「カテーテルを前回と同じ鼠径部と、今回は鎖骨下からも入れるとのことですが、それは体が大きくなったからという理由ではないんですよね?」というものでした。

三女は現在グレン循環です。
正常ならば右心房に繋がる上大静脈が、「両方向性グレン手術」によって肺動脈に直接繋がる形になっています。
下大静脈はそのまま右心房に繋がっていますから、下半身のみチアノーゼが残っている状態です。

つまり、鼠径部(下大静脈)からカテーテルを入れても肺動脈には到達しません。
肺動脈圧(肺に流れやすいかがわかる)を測りにいくためには上大静脈にカテーテルを入れなければいけないんですよね。

鎖骨下から入れることで発生するリスクは、肺損傷です。
最悪の場合は気胸になってしまい、入院延長もありうるとのことでした。

心カテで説明される合併症はいくつもありますが、主だったものでは不整脈が起こりやすいようです。
Y先生からも「電気ショックでガンッ!ってやることもあるので」と、説明されています。

以前にも聞いている説明なので、流れるようにサラッとですが。
生後3ヶ月でのCT検査と、4ヶ月での心カテ(ノーウッド・グレン手術の術前評価)の時にも造影剤は使っています。
特に問題はなかったので、副作用は恐らく大丈夫とのことでした。  

 

フォンタン循環に重要なこと
  • 静脈圧が低いこと
  • 心拍出量(心臓から送り出される血液量)が多いこと
  • 肺血管抵抗が低い(肺高血圧ではない)こと

  心臓を介さずに肺まで血液を送るため、いかに肺に流れやすいかが大切になってきます。

 

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5月13日(土)

週末なので人気もなく、何もやることがない1日でした。
行動や食事の制限などもありませんし、点滴のルートも取っていないので自由です。
ひたすら病棟をお散歩して過ごしました。

 

【この日の検査】

  • 血圧測定、リベンジ

 

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5月14日(日)

担当してくださる予定のSD先生が、急患対応で予定時間にすることができず。 「心カテ前にできればいい」とのことで、消灯後にやりました。

 

【この日の検査】

  • 心エコー

 

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5月15日(月)検査当日

前日までの予定とは時間に変更があったものの、滞りなく、無事心カテをすることができました。

 

【この日の検査】

 

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当日の流れ
  • 8時:絶食
  • 8時半:当初13時からの予定が12時からに変更
  • 9時:絶飲
  • 11時:点滴の閉塞疑い
  • 11時半:浣腸、エスクレ(お尻から入れる鎮静薬)
  • 12時:血管造影室入室
  • 14時前:終了 、病室にて絶対安静
  • 19時:本来は6時間のところ、鎮静が効かず5時間で安静解除

 

心カテ中~翌朝の圧迫解除まで、オムツはテープタイプを使用しました。

鼠蹊部に抑制のベルトを巻いているので、1サイズ上のLサイズを用意。
三女は朝までに5枚使用しました。 水分の点滴をしているので、尿量はとにかく多めで普段より頻回の交換になります。

今後フォンタン手術の際にも使用できるので、少し大きめのパックを購入しました。

 

5月16日(火)退院

朝ごはんの前に傷の消毒と圧迫解除、朝ごはんの後に点滴を外しました。
請求が上がってきて薬を受け取ったら退院です。

 

 

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一連の検査結果・心カテの評価など

検査結果の説明は、15日の夜にT先生からありました。

  •  BNPは測定値外(5.8pg/ml以下)
  • SpO2:85~90(心カテ後の安静時)
  • 心エコーの結果、血液の流れはよく三尖弁逆流も悪化していない

 

今の三女はT先生が診てきたフォンタン循環の子達の中でもトップクラスで、状態がいいとのことでした。

そして「状態のいい子には言っているんです」という前置きのあと、T先生がお話してくださいました。
表現は違いますがご了承ください。

T先生とここまでじっくりお話する機会は、今までにありませんでした。
聞きたくて聞けずにいたこと、私自身に知識がついて理解できるからこそ質問できること、やっと腑に落ちたこと、いろいろありました。

 

これからの三女への接し方について

もちろん、経過はしっかり見ていきます。
娘さんくらい状態がよければ、幼稚園も小学校も通わせないといけません。
できる事は制限しないで何でもやらせる。
運動会の徒競走も「心臓が悪いから半分」ではなくて、普通の子と同じように全部走らせる。

風邪もそんなに悪くならないから。
他のフォンタン循環の子達は冬も通ってますよ、大丈夫です。

親が「この子は心臓が悪いんです」って、周りとの間に壁や距離を作るようなことをしてはいけない。
そういうのは子どもの心に残るものですから。
「私はできるのに何で止めるんだろう」って思ってしまうんです。

以前は過保護にすることが普通だと言われてきましたけど、段々と辛くなると逃げたり、何かあれば誰かが助けてくれるだろうということが当たり前になって。
今はフォンタン循環で社会人になっている人もたくさんいますけど、精神疾患になる人も多かったんですね。

心臓病だということを考えない、忘れていいです。
普通の子と同じように育てないといけないんです。
状態のいい受け持ちの子達には、スパルタでやってもらっていますから。

調べたら悪いことばかり出てくるし、ここまで大変な思いもたくさんしてきたし、細かいことに注意を払ったり、大事にしたくなったり、悪く考えてしまうのは仕方がないんです。
それは当たり前です。

でもここから、ちょうど今が考えを変えていくのにいい時期だと思います。
そういう考えでいってほしい。

これからまだまだフォンタン循環の子達は増えていきますけど、そういう子達のHopeになれる存在ですから。
元気な姿を見せて、どんどんフィードバックしていかないといけないんです。

 

左心型と右心型の差について

以前はそう言われてきましたけど、最近はそうではないと。
そもそも通常の心臓とは根本的に違いますから、娘さんの心臓は右心型だけれど、本来の右心室とは全然違うんじゃないかと思うんですね。

おなかの中にいる時から、この心臓を動かして生きてきたわけですから、右心型とはいっても生きていくために必要な力があったんじゃないかと思います。
右心型だから弱いとか、左心型だから強いとかはないです。

状態の悪い左心型の子より、状態のいい右心型の子の方が元気ですから。
「左心低形成症候群だから不利」ということはないです。
※左心型・右心型というのは便宜上の話であるということ。

 

上行大動脈の細さについて

ノーウッド・グレン手術前に難しい言われていた「上行大動脈の細さ」が、今は有利に働いています。
(1年4ヶ月前の術前と変わらず)今も2mm程度の太さしかありませんけど、冠動脈としていい仕事をしていますね。

大動脈と冠動脈との太さに差があると、貯まりができてしまったりして、スムーズに流れていかないんです。
娘さんの今の大動脈は無駄のない太さや形をしているので、流れてきた勢いのままいくのでとてもいい状態です。
もう(大動脈ではなく)冠動脈と言っていいですね。

 

コイル塞栓術について

肺の方にもしゃもしゃと血管があるので(側副血管)、フォンタン手術に行く前にそれをコイルで詰めてしまいます。
これをほったらかしにしておくと、術後の胸水が何ヶ月も止まらなかったりするので、入院が長引いてしまう可能性がありますから。
手術と同じタイミング(実際には2日前)にやります。

 

今後の予定

  • 7月19日(水)定期健診(処方箋のため)
  • 8月14日(月)入院
  • 8月15日(火)コイル塞栓術
  • 8月17日(木)フォンタン手術

 

これからのこと

「この子は心臓病です」というひとこと。

先に知ってもらうことで、いざという時に助けてもらえますし、知っていてほしい人達には話してきました。
ただ、言い過ぎていたのかなと少し反省。
あとで傷つきたくない、私自身の保身が大きかったのかもしれません。

T先生は「自信持っていいですよ!」と何度も何度も言ってくださいました。
嬉しくて、本当に励みになりました。

産まれるタイミングが少し早かっただけで、北海道では治療の出来ない心疾患でした。
それが今は治療が受けられて、さらに「左心低形成症候群でもよりよく、より豊かに生きることができる」世の中になってきたのだと感じました。

左心低形成症候群は、最重症心疾患というのが枕詞のようについてきます。
これまでの三女も厳しいことを言われてきました。

  • 最初の手術に到達できるまで50%
  • ノーウッド・グレン手術後の1ヶ月生存率は70%
  • これまで何例も(ノーウッド手術を)行ってきたけれど、その中でも特に心してかからなければいけない

 

すべての不安や恐怖がなくなることはありません。

それでも心の緊張が解けていくのを感じて、これまで「幼稚園通わせられるかな」「いつまで元気でいてくれるかな」と。
小さな不安や恐怖が、グルグル巻きになって絡みついていたのだと気づきました。

私は、三女の存在に自信がなかったんです。
いつ消えてしまうかわからない、不安定なもののように感じることがありました。

これまでの頑張りを、こういう現実があることを、今までお伝えしてきたように「知ってほしい」と思っています。
それでもつらい日々の記憶は、もう散々お伝えしてきました。

フォンタン手術はまだこれからです。
不安な気持ちを無理に隠すことはしませんが、三女の生きる力と、T先生の言葉を信じて。

これからはもっと前を向いて! 全力で生きている三女の姿が、誰かの力となりますように。
その一助となれるよう、微力ながら力を尽くしていければと思っています。

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