不登校になってしまったハナの話、続き。
※2023年9月投稿への加筆。
WISC-IV(ウィスク・フォー)を受けてから2年近く経った。
随分と時間があいてしまった。
その後、コロナの感染拡大とゆず姉の受験直前だったこともあり。
三学期はモモと2人で過ごすことが多かった。
受診の間隔は1ヶ月半程度。
なかなかうまく言葉が出ないハナに、出しゃばらないようにしながらきっかけの言葉掛けをする必要があった頃。
それでも、主治医S先生と繋がれた安心感と半年ほどの充電が功を奏していて。
学年末の面談では、担任からの「始業式には来れないかな?」との問いに笑顔で登校したい旨を伝えていた。
中2に進級してからは、週2日数時間の登校ができるようになった。
登校には付き添いが必要だったけれど、下校は1人ですることができていたし。
大きく体調を崩すことも減っていた。
それが2ヶ月後、6月中旬には崩れてしまった。
原因は友達付き合いをしていた同級生のモラハラとも取れる自分本位な言動、それも一度や二度ではなく。
最終的には完全不登校に戻った。
「ハナはまだ学校来れねぇのか?」
その一言にひどく傷ついてしまい、自己肯定感は一気にぺしゃんこに。
学校が大好きだったのに行けなくなってしまったことを知っていて、どうしてそんなことが言えるのか。
小学生の頃から続いていたことで。
そのたびに何度も「距離を取った方がいい」と話してきたのに、「それでも友達だから」と許してしまっていたのが仇になった。
ハナの自業自得でもある。
(相手が絶対的に悪いことは間違いない)
大好きだった友達も、みんな心の中で自分をどう思っているのかわからない。
もう一生会いたくないから学校には行かない。
そう決めたのは中2の秋だった。
のちに知ったこと。
ついた診断は「身体症状症」
もともとあった体の不調が治まってきたのと入れ替わりで、対人不安が強まった。
ハナ本人も納得していた。
転機となったのは、オンラインフリースクールへの入学。
SNSに流れてきた情報でそれを知った。
S先生から「学校と家以外に居場所を見つけて欲しい」と言われていたけれど、通級はバス圏、体力も落ちたしコロナもある。
そこに飛び込んできたチャンスだった。
ハナに教えると興味を持ったので体験入学をして。
仮入学からの本入学、週3日数時間、授業や部活動の時間で全国にいる友達と関わるようになったことで一気に回復した。
フリースクールは午後からなので起きるのはゆっくりのままだし、それまでと変わらずゴロゴロしながらゲームやアニメに興じてはいる。
ただ、そんなことが気にならないくらいにとても元気。
年下の子たちや入学してくる子たちに声掛けをしながら、最年長らしく場のバランスを取れるようになっていたハナ。
フリースクールではチャットがメインだからと、言葉を選んで丁寧に接することを意識できるようになったのは大きな成長。
ゲームをしながら罵詈雑言だった姿はどこへやら。
それが先生方に評価されたことで、自己肯定感もジワジワと復活した。
「ここが自分の居場所」と思えるようになって、不登校への罪悪感も消えた。
正直なところ、ハナを傷つけた人間が、加害者が、当たり前のように「普通」を享受していることには腹が立つ。
でも、その「普通」だけが正解でもない。
決別のきっかけとしてはこれでよかったと思える。
中3に進級してほどなく、高校受験を考えるようになった。
資料を取り寄せて読み比べては楽しそうにしていて、オープンキャンパスや学校説明会にも足を運び。
進路面談のための放課後登校も増えたのに、フリースクールは全出席。
10月、通信制高校の入試は面接と作文で。
事前の面接練習や作文の添削は、担任にお願いして何度か時間をもらった。
1人で挑んだ面接試験で無事合格をいただいたことは、ハナにとって大きな励みとなり。
気づけばフリースクール以外でも勉強時間を取るようになっていて、コツコツと1日1時間程度の自主学習を続けていたら段々時間が延びてきた。
今は3時間でも4時間でも、気が済むまでやっている。
ハナは不安が強くて、1人でバスに乗ることができなかった。
通院でバスと電車の乗継を覚えて、(ここまでやる機会はなかったけれど)今は1人でも大丈夫になった。
切符の買い方も、ICカードの使い方も覚えた。
2人でべったり過ごす時間の中で、小さな頃に言語化できなかった気持ちを教えてくれることも多かった。
幅広くいろんなことを話したし、家事を教えることもできた。
「普通」の子たちの年齢相当の学力は持っていない。
集団に属していないことで幼い部分はある。
でも逆に、ひとと違う道を選んで得られた逞しさはあるし。
この2年半はとてもいい時間を過ごしてきた。
今、受診の間隔は4ヶ月程度。
S先生と話すと安心できるようで、自分のチャレンジや回復を報告できることを楽しみにしている。
いつか思春期外来を卒業する日が来るのだろうか。