昨朝「散歩に行ってくる」と言って家を出たきり、1時間半経っても帰らなかったハナ。
事故や事件に巻き込まれてないだろうか?
胸がざわつくのを感じ始めた頃、ピンポーンとインターホンが鳴った。
警察だった。
「娘さんが”お母さんから体罰を受けたので家に帰りたくない”と言って、交番に来ました」と伝えられた。
2年ほど前から依存傾向の強かったテレビゲーム。
離婚後はますますエスカレートしていて、昼夜逆転やそれによる体調不良での欠席も時々あった。
担任には幾度となく相談し、学級懇談で議題にしてもらったこともある。
私自身が受診した心療内科で、モモがかかりつけの小児精神科で、Twitterでもたびたび吐露していた。
今年に入って一時期はコントロールも出来ていたが、長期化している臨時休校ですべてが飛んでしまった。
何を言っても伝わらない。
何度注意しても無視され続ける。
そんなにお母ちゃんの話を聞きたくないなら、親に殴られたって警察に通報すればいい。
児童相談所が引き取ってくれるから家に帰ってこなくて済むよ!
我慢の限界がきて、敢えて一度手をあげたのは4ヶ月ほど前のこと。
当時の1日平均プレイ時間は9時間。
15時間という日もあった。
引きこもりが続く現状に「暇、飽きた、やることがない、つまらない」と言いたくなる気持ちはわかる。
逆にどれだけ耐性があれば今の生活を楽しめるのか、知っていたら教えてほしい。
日々のストレス発散はゲームで行われていて、ほかの家族はハナから罵詈雑言を浴びせられ続けている。
大声や悪い言葉遣い、そこに対しての注意は右から左。
それでもハナにとっては「自分の思い通りにならないこと」のひとつとして、日々不満が蓄積していた。
警察官2名からの事情聴取。
手をあげたことは紛れもない事実、通報されてもいいと覚悟の上での行動だった。
「やりました」と認めた。
これまでのことを覚えている限り、育てにくい、難しい子だと感じていたことも素直に伝えた。
元夫のことを引き合いに出して、嫌味な物言いをしたこともある。
傷つけるつもりで言った自覚もあるので、それは反省していると伝えた。
事情聴取はゆず姉からも。
ものの言い方はキツイこともあっただろうが、悪くもなければ間違ってもいないゆず姉が一番かわいそうだった。
「ウチも何かよくなかったかな」と言いながら、ボロボロと泣いていた。
日常的に体罰が行われていたかのチェックもされた。
(モモはワーファリンを服用していて内出血だらけなので、その旨を伝えた)
1時間半ほどかかって、事情聴取が終了。
そのあとの判断は、児童相談所から受け入れの可否も含めてのちほどということになった。
私自身が毒親育ちで「正しい親子関係」を知らない。
ハナの子育ては本当に悩むことが多くて、わからなくなるのだと話した時に1人の警察官が言ってくれた。
お母さんから聞かせてもらった話を、こちらで(ほかの警察官と)共有しています。皆、そのへんのお母さんよりかなり頑張ってやってると言っています。
だからこれまでの子育ては間違ってなかったと、そう思っていいんじゃないですか。
今のご時世だから特に、手をあげたことはよくない。
ただその一点だけだと。
警察が介入したことを近しい親族に伝えなければいけないと言われたので、私は父の名前と携帯番号を教えた。
「警察から電話があったよ」
両親から連絡を受けたので謝ると、母は「(子どものうちで)一番、警察のお世話になるとは思ってなかった」と笑った。
ハナのゲームのひどさを実際に目の当たりにしていた両親は、その旨を警察に伝えてくれたそうだ。
そして「ハナはとても難しい子だと思うけど、今まで通り向き合っていけば大丈夫」と言ってくれた。
私を信頼してくれる両親に感謝。
ハナは、警察2名と児童相談所の職員3名と一緒に帰宅した。
家を出て6時間ほど経った頃だった。
私は1枚の書類を書いた。
「これまで通り子育てをしていくこと」
「今日は体罰をしていないこと」
「これからは体罰をしないこと」
そして児童相談所の職員との面談。
警察官に話した内容でのやりとりと、職員からの指導だった。
ハナさんは体罰で傷ついています。
お父さんの依存症のことと一緒にされて傷ついています。
子どもには体罰の事実だけが残って、何を言われたかは残りません。
言われるまでもなくわかっている。
行き詰った時には電話相談ができるからと、名刺をいただいた。
私は謝罪と感謝の念を伝えた。
「このタイミングで第三者に介入していただけてよかったです」と。
すべてが済んで、ハナと謝り合って。
落ち着いた頃に「ゲームのことはどうしていきたい?」とハナに聞いてみた。
静かにできるようには気をつけるけど。
(気兼ねなく)ゲームのできる場所が欲しい。
家族構成に対して、このマンションが手狭なことはわかっている。
けれど、現状はどうしようもないと散々伝えてきた。
それでも言うのだ、自分の思いどおりになる環境が欲しいと。
何度その話をするつもりなのか。
学校でも、人間関係のトラブルを起こしやすい。
隣の席の子がうるさい、怖い顔で睨まれた、イヤなことをされたと言っては「学校に行きたくない」と休んでしまうハナ。
そのたびに担任に相談・お願いをして解決してもらうが、喉元過ぎればまわりがしてくれたことなど忘却の彼方。
まわりの大人が振り回されるばかり。
今回のことも、ただのストレス発散だったと見ていればわかる。
ところが一見ワガママのようでありながら、これがハナの特性でもある、なかなか折り合いがつかないところ。
元夫のことを散々こき下ろしていたからこそ、それを引き合いに出して嫌味を言ったのだ。
もちろんハナは、自分の発言をしっかりと覚えている。
それでも、言われた子どもが傷ついたのなら私が悪い。
背景に何があっても、悪いのは手をあげてしまった私。
自分をコントロールできずに体罰に逃げた母親が罰せられるのは、今のご時世では当然のこと。
5月第2週の日曜日、母の日。
私は子どもから「母親失格」という烙印を押された。
これからは、もっともっと腹を割ってハナと話し合える。
私には味方になってくれる場所が増えた。
警察に「体罰をした母親」の記録が残るという、大きなプレゼントをもらった。
未熟な自分を反省してまた笑顔で踏ん張る。
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交通事故とか、性犯罪とか、そういう事件に巻き込まれたわけじゃなくて本当によかった。
誰かに迷惑をかける事件を起こす前に、正しい方法で行動を起こしてくれてよかった。
警察官には「ビックリさせてしまってすみません」と言われたけれど、むしろホッとした。
ありがとうございました。
大変お世話になりました。